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OrcaというADEが体験良すぎる件 🐋

OrcaというADEが体験良すぎる件 🐋

この記事について 📖

対象読者: Claude Code や Codex をターミナルで複数同時に動かしていて、タブの切り替えとブランチの管理に疲れてきた方

この記事で扱うこと: Orca の機能と優れている点、cmux・herdr との違いを整理いたします。加えて、実際に9日間使った上での「向く人・向かない人」も示します。

はじめに 👋

こんにちは!H×H のセンリツ大好きエンジニアです!✌️

コーディングエージェントを複数動かすようになってから、開発環境の主役が「エディタ」から「エージェントの置き場」へ移った実感があります。ターミナルのタブを4つ5つ並べ、どれがどのブランチで何をしているかを頭で追う。そこが限界に来ていました。

そこで8月末に Orca を入れました。Stably AI が開発する MIT ライセンスのオープンソースです。自らを ADE(Agent Development Environment)、つまりエージェントを主役にした開発環境と名乗っています。使い始めて9日。手元のログと git を数えたら、エージェントの起動が 285 回、コミットが 56、PR が 19 本、差分は約 2.5 万行の追加になっていました。1つの個人開発リポジトリを、ほぼ Orca の中だけで回した結果です。

本記事では、その体験を機能の紹介と競合との比較、向き不向きの3つに分けて共有いたします。

この記事はおよそ 6300 字なので、13 分で読めます!

※この記事は AI と 2 人 3 脚で執筆されています

目次 📚

  1. ADE とは何か
  2. Orca の主要機能
  3. 9日間使って良かった点
  4. cmux・herdr との比較
  5. 気になった点
  6. どんな人におすすめか
  7. まとめ

1. ADE とは何か — IDE との違い 🧭

「IDE は人がコードを書く場所、ADE は人がエージェントを指揮する場所です」

ADE という言葉を最初に整理して読んだのは Rick Hightower 氏の記事 (Substack) でした。IDE は「人がファイルを1つずつ編集する」前提で作られており、注意の単位はファイルです。対して ADE の注意の単位は「タスクの試行」で、1つの試行が1つの git worktree に対応します。

この違いは机上の話ではありません。エージェントを2つ同じディレクトリで動かすと、片方が編集中のファイルをもう片方が上書きし、ブランチも混ざる。Orca はタスクごとに worktree を切り、その中でエージェントを走らせることで、並列作業を構造的に安全にしています。

同じ記事には「ボトルネックはコーディングエージェントから、あなた自身に移った」という趣旨の一文があります。生成が速くなった分、レビューと判断に人の時間が集まる。ADE はその判断を助ける道具、という位置づけです。

2. Orca の主要機能 🛠️

「ターミナル・エディタ・ブラウザ・差分レビューが1つの窓に収まっています」

公式サイト と GitHub の README を元に、主要機能を整理します。2026年9月時点の情報です。

並列 worktree

Orca の中心は git worktree です。1つのプロンプトを複数のエージェントに撒き、それぞれ別の worktree で作らせ、結果を見比べて勝者をマージする。README ではこれを「fan one prompt across five agents」と表現しています。

対応エージェントは Claude Code、Codex、OpenCode、Gemini、Cursor など公式に列挙されているだけで 27 種類。さらに「ターミナルで動くものなら何でも動く」と明記されています。自分のサブスクリプションをそのまま使い、Orca のサーバーを経由しないのも安心材料です。

ターミナルとエディタ

ターミナルは WebGL で描画され、無限に分割でき、スクロールバックが再起動後も残ります。エディタは VS Code 系のものが組み込まれており、差分の各行にコメントを付けてそのままエージェントへ返せます。

Design Mode

組み込みの Chromium で開いた画面の UI 要素をクリックするだけ。その HTML・CSS・切り抜きスクリーンショットがエージェントのプロンプトに入ります。「右上のボタンの色」を言葉で説明する手間が消えるのが利点です。

GitHub / Linear 連携と SSH

PR・Issue・プロジェクトボードをアプリ内で見られ、Issue から直接 worktree を開けます。SSH で遠隔マシンに worktree を作り、ローカルと同じ UI で編集・実行する機能もあります。

モバイルアプリと CLI

iOS と Android にコンパニオンアプリがあり、エージェントの完了通知を受け取って追加指示を送れます。CLI からは orca worktree create などで worktree の作成やブラウザ操作を組めます。

# 主要な CLI コマンド(README より抜粋。他に snapshot / click / fill などがある)
orca worktree create

3. 9日間使って良かった点 ✨

「並列の売り文句より、1本の worktree で回した時の静かさが効きました」

まず9日間の数字を並べます。個人開発のアプリを1つ、Orca の中でどれだけ動かしたかの記録です。

項目9日間の合計
エージェントの起動285 回
コミット56
ブランチ24 本
PR19 本(うち 18 本マージ)
差分約 24,900 行追加 / 約 2,700 行削除

一番動いた 9月3日は、1日で 20 コミットと 7 本の PR でした。ブランチを切って、エージェントに作らせて、差分を見て、PR にして、マージする。この一周を1日に何度も回せたのは、ターミナルと GitHub の間を往復しなくてよかったからです。

正直に書くと、私は Orca の看板機能である「5本並列」をほとんど使っていません。285 回の起動は、すべて1つのリポジトリの1本の worktree の上で動いていました。ブランチは Orca の中で切り替え、エージェントは Claude Code と Codex を交互に使う形です。

それでも体験が良いと感じた理由が3つあります。

状態が目に入る

エージェントが動いているのか、入力待ちで止まっているのかが、ターミナルを見なくても分かります。CARTA TECH BLOG の記事 でも触れられている「質問マークの吹き出し」がそれで、待たせていることに気づくまでの時間が短くなりました。

これまでは、ターミナルのタブを開いて初めて「さっきから止まっていた」と分かることが何度もありました。その空白がなくなったのが、一番大きい変化です。

PR までが1つの画面で終わる

19 本の PR のうち 18 本をマージするまで、ブラウザで GitHub を開いたのは数えるほどでした。差分を見て、行にコメントを付けて、エージェントに直させて、そのまま PR にする。コミットからマージまでが1つの画面の中で流れます。

スマホから追加指示が出せる

2日目にモバイルアプリをペアリングしました。接続は同一ネットワーク内に限定する設定にしてあります。家の中で机を離れている時に完了通知を受け、次の指示を送る使い方です。

長い処理を投げて席を立てるようになったのは、思っていた以上に効きました。作業のリズムが「待つ」から「戻ってきて確認する」に変わります。

4. cmux・herdr との比較 ⚖️

「3つとも並列エージェントの道具ですが、解いている問題の層が違います」

私の手元には cmux も入っており、Orca を入れる前はそちらが主でした。同じ「複数エージェントを扱う道具」として、herdr と合わせて整理します。

なお、名前の似た製品として Herd というデスクトップアプリも別にあります。Claude Code・Codex・Kimi を並列で動かす閉源のツールで、本記事で比較する herdr(Rust 製・Apache-2.0)とは別物です。

観点Orcacmuxherdr
正体ADE(統合環境)ターミナルターミナル多重化+常駐ランタイム
実装ElectronSwift / AppKit + libghosttyRust 単一バイナリ
対応 OSmacOS / Windows / LinuxmacOS のみLinux / macOS / Windows
ライセンスMITGPL-3.0Apache-2.0
worktreeタスク単位で自動作成手動(git 操作)手動(git 操作)
エディタ・差分レビュー内蔵なし(外部)なし(外部)
ブラウザ内蔵 Chromium、Design Mode内蔵、自動化 APIなし
セッション永続スクロールバック復元復元は best-effortサーバー側で生存、再起動後も復元
モバイルiOS / AndroidiOS ベータなし
GitHub Stars約 6.4 万約 2.7 万約 3.7 万

Star 数はそれぞれの GitHub リポジトリの 2026年9月上旬時点の表示です。

cmux との違い

cmux は「エージェントを動かすのに向いたターミナル」です。縦タブのサイドバーにブランチ・PR 番号・待ち受けポートが並び、通知でどのペインが呼んでいるかが分かります。Swift 製で起動が速く、メモリも軽い。Ghostty の設定がそのまま使えるのも好みでした。

ただし worktree の作成、差分の確認、PR の作成は cmux の外で行います。ターミナルで完結する人には十分ですが、私は「差分を見てコメントを返す」往復が一番多く、そこが外にあることが負担でした。

herdr との違い

herdr の強みは常駐ランタイムです。エージェントのセッションがバックグラウンドのサーバーに住んでおり、SSH が切れてもマシンを再起動しても復元されます。ペインの状態が working / blocked / idle で表示される点は Orca と似ています。

一方で herdr は既存のターミナルの中で動く道具で、エディタもブラウザも持ちません。遠隔サーバー上で長時間エージェントを走らせ、手元は薄くしたい人に向いています。

選び方の軸

ターミナルから出たくないなら cmux、セッションの生存が最優先なら herdr、レビューまで1画面で終えたいなら Orca。私の場合はこの3つ目が決め手でした。

tagbangers の記事 は tmux から cmux、herdr を経て Orca に至る移り変わりを書いています。同じ順路を辿った人が他にもいると知って少し安心しました。

5. 気になった点 ⚠️

「Electron の重さと、レビューが人に集まる構造は避けられません」

良い話だけでは再現の役に立たないので、引っかかった点も書きます。

メモリを食う

Electron 製で、andrew.ooo のレビュー では待機時で 400〜800 MB と報告されています。cmux の軽さに慣れていると、アクティビティモニタで目立ちます。

並列にすると使用量も並列になる

同じレビューにある指摘で、3つ並列に走らせれば3倍の速さでレート制限に近づきます。私が1本の worktree に留まった理由の半分はこれです。Orca には使用量のダッシュボードがあり、Claude と Codex の消費を1画面で見られるので、そこを見ながら本数を決める形になります。

更新が速すぎる

ほぼ毎日リリースが出ます。手元は 9月3日時点で 1.4.196 でした。機能が増えるのは嬉しい反面、昨日と挙動が違うことがあり、細かい不具合に当たることもあります。Rick Hightower 氏の記事 は、4人のチームが数千の Issue と PR を抱える状況を「レビューのボトルネック」と表現しています。製品が解こうとしている課題そのものが、開発チームにも起きている形です。

Claude だけならデスクトップアプリで足りる場合もある

CARTA TECH BLOG の記事 にある通り、エージェントが Claude 1本なら Claude Desktop で十分という見方もあります。Orca の価値は「複数のエージェントとレビューを1か所に集める」ことにあり、集めるものが1つしかないなら効き目は薄くなります。

6. どんな人におすすめか 🎯

「エージェントを2つ以上、ブランチを2本以上、同時に扱っている人です」

9日間の経験と各レビューを踏まえ、向く人と向かない人を分けます。

向く人

  • Claude Code と Codex を使い分けている
  • 同時に2本以上のブランチで作業している
  • 差分レビューとエージェントへの差し戻しが日常の往復になっている
  • 席を離れる時間が長く、完了通知を手元で受けたい

向かない人

  • エージェントは1つだけで、タスクも直列で進める
  • ターミナルの外に出たくない(cmux が向きます)
  • 遠隔サーバーで長期セッションを維持したい(herdr が向きます)
  • git 管理外のプロジェクトが主体

私自身は「エージェント2種・ブランチ1本」の使い方で、それでも状態の可視化とレビューの往復だけで乗り換える価値がありました。並列を使い始めたら、価値はさらに上がる見込みです。

まとめ 🎊

  • Orca はエージェント主役の ADE、注意の単位は worktree
  • ターミナル・エディタ・ブラウザ・差分レビューが1画面
  • 27 種類のエージェントに対応、自分のサブスクで動く
  • cmux はターミナル、herdr は常駐ランタイム、Orca は統合環境
  • 弱点は Electron の重さと使用量の並列化
  • 向くのはエージェント2つ以上・ブランチ2本以上の人

私の9日間は並列の看板機能を使わない地味な使い方でした。それでも 56 コミットと 19 本の PR を回した実感として、「止まっていることに気づく速さ」と「PR まで1画面」の2点で戻れなくなりました。並列を回す人なら、体験の差はもっと大きいはずです。

参考リンク 🔗

Orca 公式

比較対象

レビュー・解説

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